福井で仕事の帰り道、サンダーバードから北陸新幹線への乗り継ぎがちょうどお昼時間帯だったので、金沢駅で駅弁の購入となりました。
昔と違って今や金沢駅では福井・石川・富山の北陸各県の駅弁を買うことができますし、ホーム以外にも、「あんと」や「Rinto」といったショッピングエリアでも買うことができます。
で、当初の目的は加賀温泉駅の高野商店「輪島朝市弁当」だったのですが、こちらは残念ながら売り切れ。
そして迷ったあげく選んだのが、地元金沢の大友楼「利家御膳」。
大友楼は、駅弁好きの方なら名前はご存知だと思いますが、一般的には全国的にほとんど知られていません。
地元金沢では、老舗の料亭として別格的存在なのですが、駅弁大会などの催事には一切参加しないので、他地方では無名に近い存在だと思います。
さて、「利家御膳」を選んだ理由ですが、二段重ねが気になったのです。
二段重ねと言えば、戦前なら上等弁当ですから、なんとなく豪勢な気がするじゃありませんか。
パッケージは画像1のような大名駕籠をイメージしたもので、長い柄の部分に割箸が入っているというアイディアです。
弁当では、駕籠の部分が上下に分かれていて、それをバラすと画像2のようになります。
こうしてお菜とご飯が別々に並んでいると、やっぱり豪華に見えますね。
ご飯は瓢箪形になった白ご飯と、円形の五目ご飯。そして、端っこにはデザートの大福が入っています。
お菜は三区画に分かれており、画像3には玉子焼、魚肉揚ボール、かまぼこ、焼き鮭、蓮挟み揚。
画像4には、昆布巻、中華いか山菜。
画像5には、蓮挟み揚と治部煮。
特徴的なのは、やっぱり治部煮でしょう。
内容は、ほうれん草、鶏肉、すだれ麩、椎茸に麩の煮物。 治部煮は、加賀の一般家庭の郷土料理で、今は鶏肉ですが、昔は多く飛来する渡り鳥のツグミを用いていました。
それをワサビで食べるのが、治部煮の正しい食べ方です。
大友楼は、江戸時代には加賀藩料理頭を代々務め、明治時代以後は料亭を営むという、加賀料理界の名家。
現代の駅弁業は、仕出し弁当やケータリング業の傍らで駅弁を手がけていたり、不動産業の傍らに駅弁業を行っている所が多いのですが、そのような中にあって伝統的な料亭が駅弁を手がける、数少ない貴重な業者の一つでもあります。
このような背景を持つ大友楼の駅弁であることから「利家御膳」を食した感想としては、もう少し老舗の料亭感を出した方が、付加価値が増すのではないでしょうか。