東北本線郡山駅の駅弁と言えば福豆屋。
その郡山駅から列車に乗り120kmほど北上すると仙台に到着しますが、そこには牛タン弁当で有名な「こばやし」という駅弁屋があります。
福豆屋も「こばやし」も、そのルーツを辿ると水戸市の和菓子店井熊総本店(現在は廃業)にたどり着きます。
つまり、この二つの駅弁業者は出自を同じくする親戚のような関係にあるのですが、このことは意外と知られていないので、せっかくの機会ということで、ここにご紹介させていただきます。
今回の駅弁は、春の駅弁「三春滝桜べんとう」。
駅弁の名前に使われた「三春滝桜」というのは、郡山から磐越東線に乗り13分ほどで到着する三春駅が最寄りの、樹齢1000年以上と推定される桜のことで、日本三大桜の一つに数えられています。
この桜、私はまだ見たことは無いのですが、画像1のように切手にもなるくらいですから、すごい桜なのでしょう。
さて、弁当の方は三春滝桜が全面に描かれた掛紙を外すと、なんと容器まで桜色という楽しいこだわりです。
ご飯は、春の駅弁らしく旬のタケノコを使った、ちょっと甘めの味付けのタケノコご飯で季節感を演出。
御菜は、煮物(三春三角揚げ、たけのこ、玉こんにゃく、椎茸、ふき)、玉子焼き、さわらの塩糀焼、かまぼこ、桜漬、ふき味噌、鶏ささみの竜田梅しそ巻き、三色豆、そしてデザートには桃のシロップ漬。
この中で特に感心したのが、脇役的な存在のふき味噌。
ふき独特のほろ苦さと味噌がマッチしており、アツアツの白ご飯で、これを食べてみたい衝動にかられます。
たぶん食が進むと思います。
全体的に見ると、ご飯の量が少なめで御菜がその分多いので女性向けだと思いますが、弁当と一緒に缶ビール1本を買い求め、御菜を食べながらビールを飲み、締めのタケノコご飯と桃のシロップ漬けという食べ方も十分にアリだと思います。
ただし、男性が弁当としてこれだけを食べると、量的に物足りなさが残るかも知れません。