宇都宮駅と言えば、それが正確かどうかは別にして、一般的によく言われるのが「駅弁第一号」の駅。
私的には、このフレーズは好きではないので極力使わないようにしていますし、使う時には「一つの説である」ことを注釈を付けて使っています。
その宇都宮駅の駅弁業者である松廼家。
歴史は古く、東北本線がまだ日本鉄道の時代であった明治26年に構内営業の許可を受け、当初より弁当の販売も行っています。
その松廼家の名物駅弁と言えば、古くから「とりめし」で、現在では鶏を食材とした駅弁を複数調整しています。
そうした中で、鉄道150年を記念して販売したのが「復刻版とりめし」。(画像1)
長い歴史を持つ「とりめし」なので、その時代時代で内容も異なっていることから、調整元にお聞きしたところ、今回は昭和50年(1975)頃のものを復刻したとのことでした。
蓋を開けるとこのような感じ(画像2)で、鶏飯特有の見た目の地味さ加減は拭えませんが、御菜の多さは全国の鶏飯の中でもトップクラスの豊富さだと思います。
先ずは、その御菜からご紹介。(画像3)
主たる御菜は煮物で、椎茸、筍、人参、里芋、インゲンにコンニャク。
それに蒲鉾と卵焼が入りますが、弁当全体の味付けが濃いので、卵焼は最後の口直しとして食べるのが良いかも知れません。
メインの鶏飯の方は、鶏スープを使った薄味の茶飯(画像4)に鶏そぼろ、錦糸卵、海苔が乗っています。
鶏そぼろの味付けがかなり濃いので、茶飯を薄味として、全体のバランスをとっているように思える味。
その上に、大きな鶏の切身が3個。(画像5)
ここまで大きな鶏の切身は、駅弁では見たことが無いかも知れない大きさです。
若干濃いめの味付けの照焼きで、茶飯によく合います。
近年、肉系駅弁の中では、かつては少数派であった牛肉が一大勢力を形成したのに対して、それまでは主たる商品であった鶏系が貴重な存在に転落という、勢力図の逆転現象が起きています。
そうした中で、今回の松廼家「とりめし」は、鉄道150年を記念した復刻駅弁ということでしたが、忘れかけていた鶏飯の美味しさを思い出させてくれる商品であったと言えます。
そうした意味からも、松廼家定番の駅弁として継続販売をお願いしたいものです。