昭和9年10月の高山本線全線開通に伴い開業した高山駅で、開業当初より駅弁の調整・販売を行っていたのが、地元で明治時代より割烹旅館を営んでいた金亀館。
その金亀館が、平成6年10月に高山本線開業60年を記念して企画・発売した商品が、今日ご紹介する「飛騨牛しぐれ寿司」です。
本商品は、駅弁大会でも人気商品で、実演販売には行列ができることもあり、輸送駅弁では開店から1、2時間で完売となります。
輸送駅弁では、交通事情から10時の開店には間に合わず、午後まで入荷を待たなければならないことが時々あるのですが、それでも入荷待ちをしてくださるお客様も多く、こうしたことからも人気の程が伺えます。
蓋を開けると、甘辛い味付けのしぐれ煮と、ローストビーフが目に飛び込みます。
一見、これだけを見ると単なる牛肉弁当のようにも見えますが、その下に隠れる白ご飯が酢飯という、隠しアイディアとなっているのです。
おそらく、これが「寿司」を名乗る所以ではないかと。
さて、肝心の味ですが、しぐれ煮は甘みが押さえ目で、醤油のくどさも気にならない絶妙な味付けに仕上がっています。
そして、その上に乗るナタマメの酢漬けは、しぐれ煮の口直しに、サッパリ感を与えてくれる存在。
ローストビーフは、厚さが2〜3ミリで、その下には錦糸卵が隠れています。
それを添付された山葵と醤油を付けて食べるのが寿司っぽいところですが、ローストビーフがもう少しレアだと更に良くなると思うのは、私だけでしょうか?
ちょっと肉のパサつきが気になるので、柔らかさが欲しく思います。
本駅弁を味わう贅沢な楽しみ方は、高山本線の特急「ひだ」号に乗り、飛騨の山々と飛騨川の渓谷美を車窓で楽しみながら、味わうことではないでしょうか。