JR東海「まるっと鮎煮弁当」

先日、静岡の東海軒さんへ出張した際に東京駅の新幹線構内売店で購入。
JR東海グループの販売なので、駅弁マークが付いていないところが、ちょっと悲しいのですが、構内営業中央会に加盟しない主義らしいので、仕方がありません。

購入の決め手になったのは、「夏期限定」という点に加えて、今の季節感にバツグンの相性である鮎を食材としているところ。

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パッケージは、簾に流水文、それに緑のモミジの葉が、暑さの中に涼しさを演出していて好感が持てます。

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さて、弁当の中身はご覧のとおり。
ご飯の上に鮎が2匹。
ご飯は、野沢菜の混ぜご飯なのですが、野沢菜の微妙な塩味が隠し味になっています。
これが普通の白ご飯では、直球ど真ん中なだけで、全体としてつまらない弁当になっていたことでしょう。
野沢菜ご飯というところが、変化球で鮎との愛称もよく、美味しく食べられます。

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メインの鮎は、姿や形、大きさも良いものを選んでいます。
鮎というのは、骨も含めて全てを食べるものですから、大きすぎず、小さすぎずが良いのです。
ここで勘違いされては困るのは、よくある甘露煮ではなく、単純な煮魚として調理されていることで、その味付けは、煮魚特有の諄さが無く、実にサッパリしており、鮎の風味が損なわれていません。
この辺の味付けの調整は、絶妙だと思います。
歯ごたえも柔らかく、何ら違和感もなく頭も含めて、骨も全て食べられます。
頭から腹にかけては、少し苦味のある味が楽しめ、それから尻尾に向かって鮎の香りと淡泊な味を楽しむことができます。

御菜は、隅っこに里芋の煮物、生麩煮と枝豆のみと、いたってシンプル。
贅沢に鮎を丸ごと使っている弁当なので、御菜はこの程度でちょうど良いと思います。
幕の内弁当風に華美に飾り立てると、せっかくの鮎が、見栄えも悪くなりますし、そもそも御菜の味で、淡泊な鮎が台無しになりかねません。
ですから、これで良いのです。

以前は鮎を使用した駅弁は、それなりの種類がありましたが、ここ二十年ですっかり撃滅してしまいました。
そうした鮎の駅弁を、980円という良心的な価格で味わうことができるのは、物価高の今のご時世では極めて良心的と言えます。
夏を代表する食でもある鮎を、ぜひこの機会に味わうことを、お勧めいたします。