終了しました!京王百貨店駅弁大会2023

京王百貨店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」も、今年で数えること58回。
ということは、あと2回で還暦を迎えることになります。
今回は、週末を3回取り込んだことから16日間というロングランでしたが、珍しく雪の影響を全く受けることなく、会期を終えることができたのは、企画・販売する者として最もホッとしたところでした。

さて、前書きはこのくらいにして、今年も輸送駅弁の中から、お客様の注目度の高かった駅弁を幾つかご紹介します。
駅弁大会では、入荷量、チラシやテレビの紹介によって大きく荷動きが異なるため、ご紹介の商品が必ずしも売り上げ数量の結果ではないことを、最初にお断りしておきたいと思います。
ご紹介するのは、あくまで売り場でのお客様の反応を見て感じた結果です。

特急ヘッドマーク弁当「はくつる」 JR東日本クロスステーション・リテールカンパニー

画像:JR東日本クロスステーション リテールカンパニー

弁当の中身は岩手県一ノ関の斎藤松月堂が調整したもので、ヘッドマーク弁当のコレクターズグッズとしての側面が大きかったもの。
朝早くから並ばれたお客様の多くが、この弁当入手のためで、入荷量は多いものの平日でも開店から10分から15分で連日完売。
中には、3日間通って入手できなかったお客様がいらしたほどの超人気でした。
今回販売のヘッドマーク弁当は4種でしたがその人気は「はくつる」>「あずさ」>「やまびこ」>「とき」の順位。
「はくつる」は、弁当箱として「細長い二段弁当という点がポイントが高い」と、お買い求めいただいた若いお母様の感想です。

JR貨物コンテナ弁当・明石の鯛めし編 淡路屋

画像:淡路屋

昨年に引き続きの第二弾で、今回の色はグリーン。
国鉄時代が懐かしい世代には、コンテナと言えばこの色だと思います。
私も、EF66に牽引された長ーいコンテナ専用列車を大船駅でよく見たもので懐かしい色。
中身は前回の「すき焼き」に対して、180度転換した感じの「鯛めし」。蓋を開けると鯛の切身が二つ入っているところが好印象。
ただし、お買い求めのお客様の印象は、中身よりもコレクターズ・グッズとしてのコンテナに興味が強い感じ。
昨年は入荷量を増やすことができませんでしたが、今年は昨年よりもかなり多くの数を入荷・販売させていただき、お客様のご期待には沿えたものと思います。

兵庫県警版ひっぱりだこ飯 淡路屋

画像:淡路屋

今回、ひっぱりだこ飯の企画バージョンは、海上保安庁、兵庫県警、さかなクンの3種でしたが、断然人気が高かったのが、この県警版。
売れ行きの順位は県警>海保>さかなクンで、これは会期中に変動がない順位。弁当としての中身を気にされる方は極少数で、企画優先の選ばれ方に見えましたし、県警版は1月31日までの販売というのが利いたのでしょう。
会期当初は仕入れすぎの感から、途中で調整をしたのですが、今度は逆に少なすぎてしまい昼過ぎまでには完売。お客様には大変に申し訳ない状況を作ってしまったことが心残り。

江ノ電弁当タンコロ 小名浜美食ホテル

画像:小名浜美食ホテル

もう、もはや駅弁とは思えない出来で、話題作りとコレクターズ・アイテム狙いと思える弁当。
陶器製ですが、通常の駅弁釜飯サイズよりも大きく、そして超重量級。なにしろ、しっかりとした段ボール箱入りです。
しかしながら、子供時代にタンコロに乗っていた自分としては、なぜか嬉しい商品でした。
ヘッドマーク弁当のようにコレクターズ・グッズの一つとして買われる方も多かったのですが、駅弁には興味は無いものの、話題の商品としてたまたま知った方が、単発的に買われることも多かったように見受けられた商品です。

うなぎまぶし 自笑亭

画像:自笑亭

京王駅弁大会輸送駅弁として、久しぶりに登場した自笑亭。
昭和40年頃までは、北海道を除けば日本中のどこででも販売されていた「うなぎ」を使った駅弁も、今ではホントに少なくなり、珍しい存在となってしまいました。
例年、京王駅弁大会では「うなぎ」を主材料とした駅弁は、名古屋駅松浦商店の「ひつまぶし弁当」のみなのですが、今年は自笑亭の本品が加わりました。
1週目のチラシ効果もあり、本商品を目当てに来られる方も多く、連日昼過ぎには完売。
本家「うなぎ弁当」が高騰に加えて予約制となってしまった現在、1500円という価格設定は値頃感を持って受け入れられているのかも知れません。

【番外編】八画弁当 水了軒

画像:水了軒

入荷数は少なかったものの、午前中に売れてしまい、その後もお求めのお客様がコンスタントにいらしたのがこれ。
特に目新しさの無い、いわゆる幕の内弁当であるものの、大阪を代表する名駅弁と言っても過言ではないでしょう。
見た目が地味な駅弁なので、近ごろ流行の肉系を中心としたウケ狙いの駅弁とは違ったポジションのものですが、全体的にどこを取っ手も味が良く、駅弁好きの知る人が知る存在。一言で言えば「玄人好みの駅弁」と言えます。
駅弁を扱う人間としては、こうした駅弁が受け入れられることが、とても嬉しく感じます。

このほか、残念ながら今回は取り扱いがなかったものの、「●●はないの?」とリクエストを多くいただいた駅弁に、小田原駅東華軒「鯛めし」、米原駅井筒屋「湖北のおはなし」、岡山駅三好野「もも太郎の祭りずし」がありました。
これらは、企画弁当のような派手さや爆発的な売れ方はしませんが、ファン層が厚く、コンスタントに売れる駅弁の定番商品と言えるもの。
来年は、ぜひ取り扱い復活を目指したい商品です。