7月。
同じ7月でも、私が小学生から中学生時代を過ごした1970年代とは全く違って、今やまさに灼熱地獄。
昔の感覚で言えば、「もはや、ここは中東か?」とも思えるほど。
昔も夏は、それなりに暑かったですが、風流な暑さでしたね。
風鈴の音が似合うような・・・。
そんな夏に似合ったのが、清流で捕れた鮎。
魚屋の店先で氷の上に並べられた鮎を見ると、夏を実感するとともに、また涼感も得たものです。
鮎料理で一番は、やっぱり酢橘が添えられた塩焼きですが、それに続くのは姿鮨でしょうか。
甘露煮にしてしまうと、せっかくの鮎の風味が損なわれてしまう感じがします。
駅弁で、鮎の姿鮨が有名だった所は何ヶ所かありましたが、その一つがJR和歌山線吉野口駅柳屋が調整していた「鮎鮨」。
画像1は、昭和戦前期に使用されていた掛紙で、清流の鮎が涼しげな雰囲気を醸し出している秀作です。
柳屋は、明治44年に西部(神戸)鉄道管理局長の承認を得てホーム立売を開始し、昭和23年には待合室売店の営業も始めました。
また、昭和11年8月からは、吉野口〜高野口間において車内販売も許可されており(昭和30年代には王子〜東和歌山間に拡大)、そのいずれでも「鮎鮨」の販売を行っています。
平成20年代には大阪駅でも販売されていましたが、平成30年に残念ながら駅弁事業からは撤退してしまいました。
画像2が、その「鮎鮨」。
明治44年の発売開始時から姿を変えずに、107年の長きにわたって駅弁として販売され続けていた伝統の逸品。
けっこう酢を効かせており、その辺が好みの分かれるところだと思いますが、私的にはもう少し抑え目の方が良かったかと。
鮎は元々が淡泊な味を持つものなので、酢の強みで鮎本来の香りであったり、味が負けてしまっているように感じます。
残念ながら駅弁としては消滅してしまった本品ですが、オンラインショップとして、現在も一部地域向けに販売は継続されています。
購入可能地域にお住まいの方は、夏を感じる季節の鮨として、100年以上続く伝統の味を味わってみてはいかがでしょうか。
多少なりとも、涼しさを感じることができるかも!?