京都で春の到来を告げる駅弁といえば、これ一択でしょう。
食の季節感としては、まだちょっと早いタケノコですが、パッケージのデザインは「京都の春」そのもので、好感度抜群だと思います。
近年、感心した掛紙が少ない中で、自然と「手に取ってみよう」と思わせるこの掛紙は、間違いなくトップグループに入ると思います。
さて、そのパッケージをほどくと、なんと!竹を模した蓋が現れるという仕組み。
この辺の芸当というか遊び心は、淡路屋らしさがよく表現されています。
蓋を開けると、先ず飛び込んでくるのが大きなタケノコ。
タケノコご飯と言うと、炊き込みご飯の中に刻んだタケノコが入っているタイプもありますが、こちらのご飯の中身は細かく刻んだ人参と油揚げ。
それが定番の茶飯になっているのですが、味付けがちょっと塩辛ので、もう少し塩分控え目で良いかも知れません。
その上に乗ったタケノコは、とても柔らかく煮込まれており、噛むと煮汁がジュワっとにじみ出てきて、とても美味しい仕上がり。
御菜は、鰊の煮物、湯葉包み揚げ、牛肉の煮物、菜の花醤油漬け、蒲鉾、人参の煮物、ちりめん山椒佃煮。
あと、デザートに桜餅が入っているのが嬉しいですね。
この中で意外な御菜だったのが鰊の煮物。甘すぎず、辛すぎずの味付けはなかなか良いもので、美味しくいただきました。
あと美味しかったのは、桜の花形蒲鉾の下に隠れていた菜の花醤油漬け。これ、単に菜の花だけだと面白みが無いのですが、柚子の千切りが一緒に混ざっていることにより香りの演出が良くマッチしていました。
これと同じことは牛肉の煮物にも言えて、こちらは生姜の千切りとの相性がバツグン。
対して残念だったのは、魚の擂身を湯葉で包んで揚げた、湯葉包み揚げ。
せっかく掛紙を含めて京風駅弁に仕上げたので、もう少し湯葉らしさを楽しめる御菜の方が良かったと思いますが・・・。
そしてデザートの桜餅。
関西風桜餅なので道明寺なのですが、食後にピッタリの和菓子。
濃いめのお茶が欲しくなります。
全体的なボリュームに欠けるので、男性には物足りないと思いますが、女性には満足していただける駅弁だと思います。