むかしの驛辧當

昨年は鉄道開業150年ということで、駅弁業界も幾つかの取組みを行ってきましたが、その中の一つに日本鉄道構内営業中央会が企画した「復刻駅弁」という企画があり、本商品もその中に含まれるものです。

この中央会の企画自体に特に大きな柱があるわけではなく、企画全体として見るとまとまりに欠けるものがありましたが、単品の駅弁としては好企画と思う商品が幾つか目に留まりました。
その目に留まった商品の一つが今回ご紹介する「むかしの驛辧當」で、調整は神戸の淡路屋。

掛紙に使用されたのは、戦後すぐの「外食券」時代のもので、なかなか面白い掛紙を選ばれています。
この「外食券」ですが、この券を持っていれば弁当と交換してもらえるものと勘違いされる方が多くいらっしゃいますが、「外食券」自体は金券ではないので、他に代金が必要となります。
つまり「外食券」というのは、政府の食糧政策により統制を受けていた主食(米)を外食する権利が得られるためのものであったと理解してください。
そうした意味で、駅弁の歴史を語る資料として面白い「外食券」表示の掛紙を選ばれたことにセンスの良さを感じます。

参考までに外食券の画像を下に掲載しておきますので、ご覧ください。
今となっては、この外食券自体が貴重な存在となってしまい、なかなか見る機会がありません。

表示された「130瓦」は、130グラムのことで主食130グラムを指します。

さて、お弁当の中身ですが、御菜として卵焼、煮物(蓮根・昆布巻・人参・こんにゃく・蛸)、牛すきやき風煮、サワラ塩焼、蒲鉾。そして白ご飯とその上には白ゴマと梅干、沢庵という内容で、私的には「ザ・駅弁!」という感じ。

煮物は関西風の薄味で美味だし、特に蛸の柔らかさは特筆もの。噛んだ瞬間に「えっ、なにこれ!」という新鮮な驚きを覚えました。
牛のすき焼き風煮も淡路屋お手の物という仕上がりで、これまたけっこうなお味です。
そして、駅弁三種の神器と言われる卵焼、焼魚、蒲鉾も揃うという駅弁としてのこだわりが感じられます。

白ご飯も艶があり、最近はご飯に感心しない駅弁が増える中、駅弁は冷めても美味しいという基本をしっかりと守っています。

ここまで読むと、全く非の打ち所が無い駅弁だと皆さんは思われるかも知れませんが、筆者が不満だった点を最後に一つ。
この駅弁、ちょっと量が少ないのです。
女性的にはわかりませんが、成人男性が昼飯として食べるには、かなり少なめ。
おやつには良いかも知れませんが、食事として食べるには、他の駅弁と抱き合わせで食べるとか、一層の事、2個食べてしまうのも手かと。
基本的に美味しい駅弁ですから、2個食べる選択肢も十分にアリです。

商品名は「むかしの驛辧當」と旧字の「驛辧當」表示ですが、けっして中身までが丸ごと復刻ということではなく、「むかしの驛辧當風」とでも言える、イメージ的なものとなっています。
それでも不思議なのは、この駅弁から受ける印象が「どこか懐しい」というもので、この空気感を作り出した企画力には素晴らしいものがあります。