2019年駅弁大会復刻掛紙

神尾
新津駅 上等御弁当

信越本線の前身である北越鉄道(明治40年、国有鉄道法により国有化)が、明治30年11月に沼垂〜一ノ木戸間の開通と同時に、北越鉄道の許可により弁当等の食料品販売を、駅構内や車内にて開始した。これは、初代神尾七蔵が同鉄道の株主であったことによると伝えられている。
掛紙の印刷には多色刷りを用い、文字は漢字とカタカナ、そしてローマ字という異なった3種を組み合わせ、斬新なイメージを狙っている。デザインとしては、第一次世界大戦後に流行したアール・デコを意識して描いたものと考えられ、名所・旧跡が描かれることが多い当時の掛紙の中にあって、異彩を放った秀作である。大正15年のものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二葉

今治駅 御弁当

四国、予讃線の今治駅は、本州と四国を結ぶ連絡船乗換駅として、また、松山や高松という主要駅との距離もあることから、鉄道旅行客への食事提供という理由により、昭和5年2月10日付けで構内営業の承認を大阪鉄道局長から得た。
掛紙は、今治付近の瀬戸内海を絵地図として描いたもので、対岸である広島県尾道から今治へ通じる連絡船の航路を、瀬戸内海の島々と共に描いている。画面中央右に大きく描かれた大三島には、全国に存在する山紙神社の総本社である「大山紙神社」を紹介し、戦前の国家神道政策に一役買っている。
左下の絵には「倭寇之図」という説明が付されていることから、鎌倉時代に瀬戸内海において活動した、いわゆる海賊を描き、瀬戸内海の歴史の1コマを紹介している。
また、右上には「国民精神総動員」の戦争標語が記されていることから、昭和時代戦前期(日中戦争の頃か?)の掛紙であることがわかる。