駅弁掛紙の歴史

浜吉
下関駅 上等御弁当
株式会社浜吉は、明治23年5月1日に山陽鉄道株式会社の許可を得て、尾道駅にて構内営業を開始。その後、糸崎に移転し昭和30年に株式会社組織となった。
戦前の下関駅での駅弁販売は、浜吉弁当部の他に「たからや」があったが、昭和17年1月に2社を広島鉄道局の指導により統合し下関駅弁当株式会社となった。
本掛紙には、昭和17年に開通した関門トンネルが図案として描かれている。また「国民精神総動員」の標語が記されており、戦時色が強まった時代性を知ることができる。

 

中央軒
鳥栖駅 かしわめし
明治25年に九州鉄道株式会社の許可を得て、構内営業を開始。
かしわめしは、大正2年に当時の鳥栖駅構内営業人のうちの1人であった江島が販売を開始した。昭和初期に一時期途絶したものの間も無く再開し、現在まで販売が続いている。
本掛紙は、かしわの由来である鶏を大きく描き、その尻の部分に卵を配する洒落た構図となっている。卵内には門司鉄道局名による「旅は道連れ 世は情け 御互に座席を 譲合ひませう」という鉄道標語を記している。

 

まねき
姫路駅 上等御弁当
明治22年に山陽鉄道株式会社の許可を得て、姫路駅にて弁当、お茶の立売営業を開始した。
本掛紙は、昭和初期の上等弁当に使用されたものであり、姫路城天守閣が大きく描かれている。姫路城は、戦前・戦後の時を超えて姫路のシンボルである。
当時の上等弁当は、ご飯が入った折箱と、おかずが入った折箱の二段重ねの弁当であり、内容も鉄道当局から細かく指定されていた。

 

壺屋
豊橋駅 稲荷寿し
明治22年に鉄道局長官の承認により、豊橋駅においてホーム立売を開始した。
本掛紙は、豊川稲荷を主題としてデザインされたものである。
壺屋の稲荷寿しは、明治22年の立売開始時から現在に至るまで、120年以上も販売が継続されている超ロングセラー駅弁である。

 

新竹
松坂駅 御弁当
明治27年に参宮鉄道株式会社の許可を得て、28年より松坂駅においてホーム立売を開始した。
本掛紙は昭和戦前期のものであるが、松阪の観光名所として「松阪公園」と「岩内弁天池」が紹介されている。

 

米吾
米子駅 上等御弁当
明治35年に鉄道作業局長官の承認を得て、米子駅においてホーム立売を開始した。
本掛紙は、富士山に似ていることから「伯耆富士」と呼ばれる大山をバックに、手前には中海と松林を描いている。
上等弁当は、大正8年に定価30銭から40銭へと値上げされたが、大正11年に35銭へと下げられ、昭和5年に再度30銭へと下げられた。このように定価30銭時代は2回あるが、本掛紙は図案の様式から昭和5年以降の30銭料金時代のものであることがわかる。

 

大黒屋(高野商店)
今庄駅 御弁当
明治29年7月15日の今庄駅開業と同時に、弁当とお茶の立売を開始した。昭和37年に敦賀〜南今庄間の北陸トンネル開通により、優等列車が今庄駅を通過することになったことに伴い、大聖寺駅へ移転。昭和45年に優等列車の停車駅として加賀温泉駅が開業すると、同駅へ再び移転し現在に至っている。
本掛紙は、雪景色の今庄の山々をバックに、手前には木の枝に留ったツグミを描いている。ツグミは今庄の名物であり、戦後ツグミ弁当が販売され一躍有名になったものの、ツグミが禁漁になったことから消滅した。
調整時刻を表示したスタンプが、時計形であるところが面白い。

 

柳家
吉野口駅 鮎鮨
明治44年に鉄道院西部鉄道管理局長の承認を得て、ホーム立売を開始した。
鮎鮨は明治44年の営業開始当初から販売されており、100年を超える歴史を持つ駅弁である。
本掛紙は上部に吉野の山々を描き、中央には大きく清流を泳ぐ鮎を描いている。絵柄から鮎の美味がよく伝わり、購入意欲をそそる掛紙である。定価25銭で昭和戦前期の掛紙である。

 

三好野
岡山駅 上等御弁当
明治24年に山陽鉄道株式会社の許可を得て岡山駅にて湯茶の提供を始め、翌25年から駅弁の製造・販売を開始した。
本掛紙は、定価30銭時代(昭和5〜15年)の上等弁当である。図案は奥に岡山城を、手前には後楽園庭園を描き、その池の上空にツルを二羽配している。

 

福廼家
和田山駅 上等御弁当
前業者が廃業したことから、それを引き継ぎ、明治44年に鉄道院西部鉄道管理局長の承認を得て営業を開始した。
本掛紙は、関西・山陰地方の鉄道路線図を図案としているが、掛紙図案の中でも地図を主題とした掛紙は意外と少ない。
大正8〜11年の上等弁当40銭時代の掛紙である。

 

南茶店
草津駅 上等御弁当
明治22年鉄道局長の承認を受け、草津駅でのホーム立売を開始。当初は南茶店、南茶寮と名乗っていたが、後に南洋軒と改称し現在まで続いている。
本掛紙は大正12年のものであり、月明かりの下、葦が繁る琵琶湖を小舟が行く光景を描いている。暗い印象を受ける掛紙ではあるが、絵画的には芸術的な掛紙である。
また、大きく「時候柄早クオ召シ上リ下サイ」と食中毒予防の断り書きと、「空箱ハ腰掛ノ下ニオ置キ下サイ」と車内美化に関する標語を記している。

 

このページは福井県立博物館協力企画です。